亡くなった際は、葬儀や被相続人の債務の支払い、各種税金類など大きくお金がかかります。そのようなお金はどのように工面し、どのようなタイミングで支払い、どのようにあらかじめ決めておけば揉め事やトラブルにならないのでしょうか?
相続においてかかる費用
まずは相続関連でかかる費用を箇条書きでまとめました。
- 葬儀、葬式に伴う費用
- 司法書士・弁護士の相続手続き
- 被相続人の債務(クレジットカードや家賃)、未払税金
- 被相続人の病院代金
- 相続人の税金(相続税、不動産取得税)
基本的には法定相続分にて等分に分けることになります。相続人の税金は各々で負担することとなります。(特に不動産しが相続財産がなく代償分割をする場合は、不動産を引き継ぐ相続人にキャッシュがないとトラブルになります。)しかし葬儀の費用や士業の方へ支払う手数料などは、遺産分割をする前に先に支払わないければならないため誰かが立替える必要が出てくるのです。
死後事務委任契約と死後事務費用
死後事務費用の支払いを死後事務委任契約であらかじめ定めておくことができます。トラブルを避けるためにはあらかじめ支払い根拠や誰が支払うかを定めておくべきです。
しかし死後事務費用を契約で定めていない場合は受任者の費用の前払い請求(民法第649条)受任者が費用を立て替えて後日生産するときは受任者による費用などの償還請求(民法第650条)によります。
生前に現金を預かっておかないと万が一相続人もしくは、相続人がいない場合相続財産管理人から支払いを待つ形となり清算に時間がかかります。
お金の確保方法
1.生前に前受け費用として預かる場合
一番シンプルなのが、生前にお金を預かっておくケースです。そのようにすれば葬儀なども滞りなく進めることができます。ただしこの預かった人(推定相続人、死後事務委任契約の受任者など)が散財してしまったり破産した場合に、問題が生じます。生前にできる限り正確に葬儀費用などを見積もり、過大にも過少にもならない適正な預ける金額を定めておく必要があります。
2.信託による場合
先ほどの方法ですと預かった人が使い込んでしまうなどのリスクがあります。そのため死後事務費用を信託する方法があります。このようにすれば使い込まれる心配がないため、葬儀などの執行は問題なく行われます。
一方信託会社に預ける以上、毎年一定の信託手数料が発生します。したがって(被相続人が)長生きすればするほど、負担が大きくなります。
3.遺言による方法
遺言を生前に作成する場合、死後事務費用を相続財産から支払うように明記されます。その場合、誰がどのように支払うのかを明確にしておくことで、一定のトラブルを避けることができるでしょう。
ただし相続人同士で遺言の有効性などで揉める可能性もあるので十分な注意が必要です。自筆証書遺言より公正証書遺言の方が有効性の揉め事はかなり少なくなりますが、作成にお金がかかることに注意が必要です。
4.相続人などが立て替え
被相続人の債務や医療費などは相続人の誰が支払ってもいいのでとりあえずポケットマネーでたて替えることができます。しかしこの方法は一番トラブルを招きやすいので、死後事務委任契約や遺言などでできる限り定めておきましょう。
立て替えた場合は、領収書を必ず保管するようにいたしましょう。