民法896条
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
法律には、相続人は被相続人の財産の一切を承継すると書いてあります。
しかし、例えば親を殺したりするようなとんでもない息子にまで相続させる必要があるでしょうか?常識的に考えてそのような子供に遺産を相続する資格はありません。そこで相続欠格という制度を民法という法律は用意しました。相続欠格とは、一定の非行行為をした相続人の相続権を奪うという制度です。
本来であれば、遺言で特定の相続人に遺言させない旨を遺言書で明記することができますが、法定相続人には、遺留分というものがあり、この遺留分を相続人は請求できることになってしまいます。ですが、相続欠格はこの遺留分までも相続人に渡らないようになっています。
つまり、相続人の相続権は完全にはく奪されます。一旦相続欠格に該当してしまうと、相続権を復活させることができません。このようにひどいことをした相続人へ対する制裁という意味で強力な効果があります。
相続権を永遠に奪うという強力なものですから、法律にはどのようなときに相続欠格になってしまうのかが厳格に定められています。
相続欠格事由
どのようなときに相続欠格になってしまうのかが民法という法律に定められています。
以下の5つの場合に該当すると、相続人の資格が剥奪されます。
相続欠格事由①
民法891条1号
次に掲げる者は、相続人となることができない。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
「故意」に死に至らせ、至らせようとしたとありますから、殺人や殺人未遂が該当します。
相続欠格事由②
民法891条2号
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
殺害しただけでなく知りながら告発しなかったなど、かばったような場合も欠格事由にあたってしまう場合があります。
相続欠格事由③・④
民法891条3号
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
民法891条4号
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
詐欺や強迫などにより遺言を妨害したり、逆に書かせたりすることも欠格事由に該当します。
相続欠格事由⑤
民法891条5号
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
遺言書を偽造や隠匿などをすることも欠格事由に該当します。
欠格と廃除の違い
相続欠格と似ている制度として、相続廃除という制度もあります。この2つはいずれも相続権を剥奪させる制度ですが、違う点もあります。
まず相続欠格は、国の制裁という意味合いがありますから、上記の5つに該当してしまうと問答無用で相続権を失います。そこに被相続人の感情は関係ありません。
また、一旦相続欠格になってしまうと取り消しができません。
それに比べて廃除という制度は、廃除の取り消しをすることができます。つまり、「こんなバカ息子に遺産を相続させるのは嫌だ」という感情で廃除をすることもできますし(もちろん単に気に入らないといった理由だけでは廃除が認められるものではありません)、その後の事情で逆に「やっぱり許してあげよう」ということもできるのです。
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相続欠格や相続廃除という制度についてご説明させていただきましたが、相続人に遺産を相続させないという制度ですので、相続トラブルになることもありますので慎重に判断していく必要があります。
もしお困りであれば専門家へ相談することも検討していきましょう。
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