家族信託の受託者を法人にする場合

家族信託とは受託者、委託者、受益者の3者から成り立ち、信託法に基づき財産管理を行う1つの方法です。この中で財産管理を行い委託者が信じて託す相手が受託者です。受託者が中心となり信託を行うので非常に受託者は重要な役割があります。

そのため受託者が死亡してしまうと信託契約をどのようにするかという問題が発生します。従って受託者を法人にしてしまえば良いと思うかもしれません。今回は法人を受託者とする場合の注意点などをまとめます。

法人が報酬を受け取る際は注意が必要

株式会社、有限会社、合同会社などの法人を受託者にする場合、注意が多少必要になります。まず法人の設立目的として営利を追求するというものがあります。従って信託行為があった場合信託報酬をもらうのが自然です。

しかし信託業法では不特定多数の人の財産を反復継続して預かる場合に報酬を受け取るには
金融庁の免許が必要と定めています。この”不特定多数”という文言に抵触しないように、「信託業法の適用を受けない民事信託の引き受け」といった文言を定款に加えておけば問題ありません。

一般社団法人を受託者とするケースがもっとも一般的

上記事柄があるため、実務上は一般社団法人を受託者とするケースが多いです。具体的には家族・親族が2人以上で一家の財産管理を目的とする一般社団法人を立ち上げ子供がその法人の代表者として実際の信託事務を行うケースがもっとも自然です。

一般社団法人は非営利・営利関係なく設立可能ですので、無報酬でも不自然ではありません。ただし法人にも運営コスト(住民税や役員報酬など)がありますので多少受け取るのが自然でしょう。なお一般社団法人の定款にも事業目的に一族の財産管理を目的とする旨を記載すれば前述の通り信託業法に触れることはありません。

個人と一般社団法人どちらを受託者とすべきか?

仮に委託者に3人の子供がいたとします。それぞれ長男には3人の子供、次男には2人の子供、三男には子供がいないとします。設立した一般社団法人が入社資格を退社した社員の直系卑属全員としてしまうと子供がたくさんいる長男が有利になってしまい法人の経営権を掌握することになります。社員全員により入社するものを決めるなどトラブルを未然に防ぐことが必要です。

法人運営という部分で紛争が発生してしまい信託業務が遂行できなくなってしまうと本末転倒です。一般社団法人を設立して受託者にする場合も上記のような注意点がございますので慎重に進めてください。またトラブル防止などは司法書士をはじめとする専門家が知恵を持っています。悩んだりした場合はまず司法書士に相談することを視野に入れてください。

 

家族信託の実例❶(認知症対策)

家族信託の実例❷(二次相続対策)

家族信託の実例❸(不動産共有名義対策)

家族信託の実例❹(子供がいない場合)

家族信託の実例❺(生前合意)

家族信託の実例❻(空き家対策)

家族信託の実例❼(離婚して前妻・後妻がいる場合)

家族信託の実例❽(事業承継)

家族信託の実例❾(内縁の妻がいる場合)

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