後見という言葉をご存知でしょうか?もともと後見とは後ろ盾となりサポートするという意味です。
法律上の意味では保護を必要とする人の財産管理や日常の取引の代理を行い、保護を必要とする人を守るという意味があります。
これを成年後見制度と呼びます。成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類あります。今回は法定後見制度について説明いたします。
法定後見制度とは?
法定後見制度は本人の判断能力が不十分になったため、家庭裁判所に申立をすることで後見人を立てる制度です。
法定後見の種類
法定後見制度には後見・保佐・補助の3種類あります。この3つはご本人の判断能力のレベルによって決まります。
後見
後見とは自分自身の行為の結果について合理的な判断をする力がない場合に行われます。具体的には植物状態の人や認知症などで日常生活がままならない人が後見の対象になります。
支援の内容は日常生活以外の全ての法律行為を代わりに行ったり取り消しをすることです。
仮に悪質な契約をしてしまったとしても、後見であれば後見人が遡って取り消すことができるのです。
成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。
保佐
買い物程度はできるが財産管理などを自分で行うことができない人が保佐に当てはまります。はっきりわかることとわからないことがある状態や日によって認知状態が変わるような人はこの保佐に当てはまります。
被保佐人が保佐人に同意を求めなくてはいけないことは民法で厳格に定められています。
1. 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第9条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
一. 元本を領収し、又は利用すること。
二. 借財又は保証をすること。
三. 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四. 訴訟行為をすること。
五. 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法 (平成15年法律第138号)第2条第1項 に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六. 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七. 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八. 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九. 第602条に定める期間を超える賃貸借をすること。
十. 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。
2. 家庭裁判所は、第11条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第9条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
3. 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
4. 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
補助
補助とは知的障害、認知症等で判断能力が不十分でない人に行われます。大抵のことは自分でできますが契約や財産管理などの判断能力がかけている場合です。
任意後見との違いは?
任意後見の場合は契約ですが、法定後見の場合は法律に規定によるものです。法定後見人は家庭裁判所が決めますが、任意後見の場合は契約者本人が後見人を選ぶことができます。
したがって本人の判断能力が衰えていない場合任意後見契約、衰えて判断ができない場合は法定後見契約となります。