相続が発生すると絶対に避けて通れないのが遺体の引き取りや保管です。大変デリケートな内容ですが、相続含め今後の手続きを進めていく上で落ち着いて対処していかなくてはなりません。
今回は遺体の引き取りや保管について詳しく解説します。
遺体の引き取りは誰がするもの?
遺体を引き取るのは誰か一人が決定権を持ちます。判例や通説では遺体は祭祀財産に相当し、祭祀供養の目的を達するため放棄できないとされています。
そしてその遺体の貴族は通常相続による承継ではなく祭祀を主催すべき人に帰属するとされています。
この祭祀主催者は被相続人を指定、その地方の慣習、指定も慣習もない場合は家庭裁判所の審判といった優先順位で定められています。基本的には配偶者や子になることが多いです。
遺体引き取り者の明確な義務はないですが、簡潔にまとめれば遺族の権利かつ義務であるとされています。
成年後見人の引き取り義務
被相続人は生前ほかの相続人と交流がなく、被相続人の死亡後、誰とも連絡が取れませんでした。そのため被相続人の成年後見人である私に遺体の引き取りのため連絡が病院からきました。成年後見人は遺体の引き取り義務があるのでしょうか?
結論から申し上げると原則として成年後見人に遺体の引き取り義務はありません。したがって相続人や遺族に遺体を引き取ってもらうこととなります。
しかしながら実務上本来引き取るべき人が引き取りが困難である場合、やむを得ず成年後見人が引き取らなければならない時もあります。
相続人等が引き取りを拒否したり行方不明の場合、法律上では死亡地の役所の首長が埋葬や火葬を行う義務があるとされています。しかしながら市区町村の対応が遅いため成年後見人がやむをえず引き取ることがあるのです。
その場合、後見人が実費を建て替えることができる余力があるか、被相続人の意思はどうであるかなど確認しておくべきでしょう。被相続人が生活保護者である場合役所の人が全ての手続きを行ってくれます。
遺体の保管
病院での保管期間は原則1日程度であるため、早急に遺体を引き取らなくてはなりません。基本的には引き取り後自宅へ搬送しその後斎場へ搬送することになります。
成年後見人が引き取る場合は、自宅へ持って帰るわけにもいかないため遺体を保管してくれる業者を探すのが無難です。葬儀がすぐにできない場合は火葬場に併設されている霊安室や保管場所のある斎場で一時的に保管してもらうことも可能です。