遺産分割の禁止
遺産分割の請求が禁止される場合
共同相続人は次条の規定により、被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で遺産の分割をすることができる。(民法907条)とあります。
請求が禁止されるのは次の場合です。
- 被相続人が遺言で遺産分割を禁止してる場合。
被相続人は遺言によって相続開始の時から5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁止することができ、遺産の全部について禁止することも出来るし、特定の遺産のみ分割を禁止することも可能。
- 共同相続人の合意によって遺産の分割を禁止することもできる。この場合、禁止期間は5年を超えることが出来ない。
- 家庭裁判所の審判による場合。
遺産分割が共同相続人の間で調わないとき、または協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができます。この場合において、特別な事由があるときは家庭裁判所は一定期間を定めて、遺産の全部または一部について、その分割を禁ずることができます。
遺産分割の効力
遺産分割は、相続開始の時にさかのぼって効力を生じます。ただし第三者の権利を害することはできません。相続開始時の時にさかのぼって効力を生じるため、被相続人の死亡後、数年後に遺産分割協議をしても、その効力は相続開始時にさかのぼって効力を生じます。
・不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については民法177条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記をしなければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができない。
・遺産は、相続人が数人ある場合において、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は遺産とは別個の財産というべきであって、右共同相続人がその相続分に応じて分割相続債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。遺産分割は、相続開始のときにさかのぼってその効力を生ずるものであるが、右共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した右賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響をうけない。
・共同相続された普通預金債権、通常貯金債権および定期預金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となる。