遺産分割の効力
遺産分割協議は被相続人が亡くなってから、相続放棄のような期間制限はありません。
そのため、被相続人の死亡後、何年経過してからも遺産分割協議をすることは出来ます。
それでは、被相続人が死亡してから数年経過した後に相続人全員で遺産分割協議をして不動産を相続人の一人であるAさんに取得させた場合、Aさんはいつから、不動産を取得したことになるでしょうか。
遺産分割の遡及効
上記の例では、被相続人死亡後、数年後に相続人全員で遺産分割協議をして、Aさんに取得する協議が決まりましたが、Aさんは被相続人の相続開始時に当該不動産を取得したことになります。
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。
第三者が介入した場合
遺産分割は被相続人に死亡後、期間制限はありませんし、相続開始後数年経過後の遺産分割でも効力は相続開始時に遡ります。ただし第三者の権利を害することは出来ません。
相続開始後遺産分割前に相続人の一人の債権者が相続人の持分について不動産に差押をした等
この場合は遺産分割によって債務の無い相続人に不動産を取得させる遺産分割協議が成立しても差押をした債権者に対抗できません。
よくあるのが、相続人の一人が税金を滞納してる場合等です。
この場合、国や市区町村は税金を滞納してる相続人の持分を差押さえる前提として法定相続登記を代位して登記申請してきます。その後滞納してる相続人の持分に差押登記等をしてきます。
共同相続人の担保
責任遺産分割によって取得した財産に瑕疵がある場合は、各共同相続人は他の共同相続人に対して相続分に応じて、売主と同じ担保責任を負います。
債権についての担保責任
各共同相続人は、その相続分に応じ分割時における債務者の資力を担保する。弁済期に至らない債権、又は停止条件つきの債権の場合は、弁済時における債務者の資力を担保する。
遺産分割の解除
遺産分割協議の成立後、共同相続人の一人が遺産分割協議によって他の相続人に負担した債務を履行しないときであっても、他の相続人はこれを理由として当該遺産分割協議を解除することはできません。(法定解除の場合)
共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合でも、遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除したうえで改めて分割協議をすることはできます(合意解除の場合)