近年では政府が投資を推進するようになり様々な制度が新設されております。その中でもNISAがかなり話題になっておりますが、被相続人がNISA口座を持っていた場合、どのような扱いになるのでしょうか?
NISA口座について解説しつつ、実際相続が発生した場合の対処法や手続き方法などを詳しく紹介していきます。
NISAとは?
通常株や投資信託で出た利益を確定した場合、20.315%の税金がかかります。NISA口座では端的に言うとその税金がかからなくなります。イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)の日本版でNISAと言うわけです。
NISA口座と相続税
NISAは非課税と言われていますが、あくまでもキャピタルゲインにかかる税金に対して非課税であり、相続により発生する相続税に対してはかかります。配当金や分配金が課税されるかどうかは権利確定日によって異なります。亡くなった日までに権利が確定した配当金や分配金には税金は一切かかりません。一方で亡くなった日以降であれば、課税されます。
またNISA口座の相続は、一般の証券口座の相続と扱いが異なります。
一般の証券口座にある財産を相続する場合は、取得日が被相続人が取得した日、取得価額が被相続人が取得した価額となります。しかしNISA口座にある財産を相続する場合は、取得日が被相続人が亡くなった日、取得価額が被相続人が亡くなった日の終値となるのです。
被相続人のNISA口座は相続人のNISA口座に引き継げる?
被相続人がNISA口座を保有していて、相続人もNISA口座を保有している場合、引き継ぐことはできるのでしょうか?そのような場合、結論から言うと引き継ぐことはできません。
被相続人がNISA口座で株式などを保有していた場合、非課税となるのは相続発生日までです。その後は相続人のNISA口座ではなく相続人の通常口座にて引き継がれることになります。
実際の手続き
実際NISA口座がある場合の手続きはどのようになるのでしょうか?こちらについては、「非課税口座開設者死亡届出書」以外は通常の証券口座の引き継ぎ手続きと変わりません。
戸籍で相続人を確定し、証券会社に手続きを依頼します、もらった書類に対し誰がどのように株や投資信託を引き継ぐのかを遺産分割協議書に記載の内容の通りに提出することになります。証券口座を引き継ぐ相続人が持っていなかった場合は、その相続人は新たに口座開設の必要がありますので注意が必要です。