自己破産と相続

自己破産をした人は相続はできるのでしょうか?結論から言うと問題なくできます。ただし、タイミングによっては財産が没収になるケースなどもありますので、弁護士、司法書士など専門家と相談しながら相続の手続きを進めておくべきでしょう。

自己破産とは?

そもそも自己破産とは何でしょうか?個人が借金など負債問題に直面している場合、裁判所に申し立てを行い、その借金をチャラにしてもらう手続きのことです。個人の資産を整理する手続きの一つです。

まず自己破産の流れとして、住所地の裁判所に破産手続きの申し立てを行います。書類に不備がないことを確認した上、裁判官が支払不能状態にあることを判断すると破産の手続きの開始が決定されます。

なお自己破産には同時廃止事件と管財事件の2タイプあります。一般的に破産者が20万円以上の資産を持っている場合や破産者が申立時やその直前まで事業を行っていた場合は管財事件として扱われます。破産管財事件の場合は、破産管財人の選任が行われ、破産管財人が財産の処分をしていきます。

破産手続きのみでは借金の免除にはなりません。破産法では免責不許可となる事由がない限り免責されるとなっております。免責不許可となる事由がなければ免責許可が出て自己破産となります。自己破産をすると官報により公告されます。

自己破産後に遺産相続できるのか?

1番の関心ごとは自己破産後に遺産相続をできるのか?というところでしょう。これに関しては相続が発生したタイミングによります。

1.相続発生が破産手続き開始前の場合

まず自己破産の手続きをし、破産手続き開始前に相続が発生した場合は遺産は破産財団に含まれ、借金の弁済や返済に充当されます。つまり相続発生が破産手続き前の場合は遺産を引き継げないと言うことです。

相続については通常と同様に行われますが、遺産分割協議が終わっていない場合、破産者は相続人として遺産分割協議に参加することはできません。裁判所から選任された破産管財人が協議に参加します。

相続で取得した財産を取られたくないため隠すような行為はやめましょう。そのような行為は免責不許可事由にあたり自己破産による借金チャラが成立しなくなる可能性があります。

2.相続発生が破産手続き開始後の場合

破産手続き開始決定後に相続が発生した場合、遺産は新得財産として扱われます。したがって遺産を取得できます。遺産分割協議にも参加することができ、どのように引き継ぐかを他の相続人と話し合いながら進めることができます。

相続人に自己破産者がいる場合

上記のように相続人に自己破産者がいる場合、タイミングによっては債権者に財産がまわる可能性があります。そのため、破産手続き開始前に相続が発生した場合、破産者には相続放棄をしてもらうことで他の債権者に遺産を取られることがなくなります。

なお破産手続き開始後に相続が発生した場合、相続放棄はあまり意味がありません。その場合、債権者に対する権利侵害と解釈されるため法律により限定承認の効果しか持たないと定められているからです。

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