遺言による一般社団法人の設立

遺言書を作成する際に一般社団法人を設立することができます。

一般社団法人とは?

一般社団法人とは「一般社団法人及び一般社団法人に関する法律」に基づいて設立された財団法人です。一定の目的のために提供された財産を運営する目的で作られた法人です。

(そもそも社団とは、一定の目的を持った人の集まりのことで一般社団法人はその社団が登記をしたと言うことになります。)公益財団法人とは異なり、規制緩和後は設立が容易で、幅広い事業展開ができます。

通常の株式会社との違いは持分がないと言うことです。すなわち一般社団法人の財産は誰のものでもありません。

遺言執行者の役割・職務

遺言により一般社団法人を設立する場合、遺言執行者が大変重要な役割を果たします。

遺言執行者は遺言の効力が生じた後、速やかに当該遺言で定めた事柄を記載した定款の作成を行います。その後作成した定款により公証人による認証を受けます。

遺言執行者は定款の認証後、速やかに定款に定めた支払い、金銭以外の財産の全てを供給する必要があります。拠出の目的となった財産は財団法人に引き渡すまで保管する必要があります。

引き渡しに関しては通常の遺贈と同じ手続きが必要です。主たる事務所の所在地においては設立登記を行いこの登記をすることで一般社団法人は成立します。

一般社団法人を遺言で設立するメリット

一般社団法人を遺言で設立するメリットはなんでしょうか?以前は下記に述べるような極端な節税が可能でした。現在では相続税対策として使うのは難しいのが現実です。

一般社団法人では遺言者が自分の死後にその財産を社会に役立てたいという際にメリットがあります。寄付等では財産の使い道までは指定できませんが一般社団法人では指定が可能です。目的やお金の使用用途の詳細設定などができるのでより自分のしたい社会貢献が現実にできやすくなります。

社団節税

現在法規制が厳しくなり、社団節税がなかなかできなくなりました。しかし過去には一般社団法人を利用し節税ができました。Aさんは息子Bさんと一緒に一般社団法人を設立しました。Aさんは相続税対策として自身が設立した一般社団法人に自分の所有しているマンションを譲渡をします。

その際、買った時の値段より売った時の値段が高ければ譲渡税が発生します。時間が経過しAさんが死亡した場合、マンションの所有者は設立した一般社団法人のため、相続税が発生しなくなるのです。

法人が解散した際に誰の持ち物になるのか?ということがありますが、まず最初の時点で設立者の持ち物にするということはできません。(株式会社と変わらないため)しかし最初の時点で解散時に地方公共団体等に引き渡すことにしていき、その後社員総会で決めることにすると変更することができてしまうのです。これにより実質的に相続税なしで引き渡しができてしまいます。

なお贈与をした場合は、譲渡した以上に税金がかかってしまうため得策ではありません。現在では上記の節税方法にメスが入り、節税ができなくなりました。

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