家族信託を利用する場合どのようなタイミングで家族信託を終了すればいいのでしょうか?その答えは信託を利用する目的、家族構成、保有財産の状況、資産状況によって変わってきます。
●特定の受益者の死亡を機に終わらせる
信託契約において、信託期間の終了に関しては信託の終了事由という条項を定めることが一般的です。そこでどの時点で信託契約が終了するかを決めておきます。
●信託の終了に関する法律
信託の終了に関連する条文は信託法の163,164条です。
(信託の終了事由)
第百六十三条 信託は、次条の規定によるほか、次に掲げる場合に終了する。
一 信託の目的を達成したとき、又は信託の目的を達成することができなくなったとき。
二 受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が一年間継続したとき。
三 受託者が欠けた場合であって、新受託者が就任しない状態が一年間継続したとき。
四 受託者が第五十二条(第五十三条第二項及び第五十四条第四項において準用する場合を含む。)の規定により信託を終了させたとき。
五 信託の併合がされたとき。
六 第百六十五条又は第百六十六条の規定により信託の終了を命ずる裁判があったとき。
七 信託財産についての破産手続開始の決定があったとき。
八 委託者が破産手続開始の決定、再生手続開始の決定又は更生手続開始の決定を受けた場合において、破産法第五十三条第一項、民事再生法第四十九条第一項又は会社更生法第六十一条第一項(金融機関等の更生手続の特例等に関する法律第四十一条第一項及び第二百六条第一項において準用する場合を含む。)の規定による信託契約の解除がされたとき。
九 信託行為において定めた事由が生じたとき。
(委託者及び受益者の合意等による信託の終了)
第百六十四条 委託者及び受益者は、いつでも、その合意により、信託を終了することができる。
2 委託者及び受益者が受託者に不利な時期に信託を終了したときは、委託者及び受益者は、受託者の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
3 前二項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。
4 委託者が現に存しない場合には、第一項及び第二項の規定は、適用しない。
契約上の家族信託の終了事由は家族信託の目的に応じて定める必要があります。実例として認知症の対策として家族信託を始めた場合、受益者である本人がなくなった場合、家族信託を契約している意味は薄いので必要がありません。家族信託の終了事由は信託契約の中で定めておくことも可能です。具体例は家族信託の実例がありますのでそちらを参考にしてください。(終了事由や目安の記載があります。)
特別な事情による信託の終了
信託契約を結んだ際に予測できなかった特別な事情により、信託を終了させることがベストであることが明らかな場合は、申立により裁判所が信託の終了を命ずることができます。具体例でいうと受託者と受益者の関係性が極端に悪化した場合などです。