相続の効力
相続人は相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利を承継します。ただし、被相続人の一身に専属したものは承継しません。
一身に専属したものとは、被相続人その人のみ帰属し、相続人に帰属出来ない性質のものをさします。
- 共同相続人の一人が相続開始前から被相続人の許諾を得て、遺産である建物に被相続人と同居していたときは、特段の事由のない限り、被相続人の死亡後遺産分割前まで同居の相続人に建物を無償で使用させる旨の合意があったものと推認すべきである。
- 内縁夫婦がその共有する不動産を共同で使用してきたときは、特段の事情のない限り、両者間で一方が死亡した後は、他方が不動産を単独で使用する旨の合意が成立していたと推認すべきである。
- 共同相続人の全員の合意で遺産分割前に遺産を構成する特定不動産を第三者に売却した時は、その不動産は遺産分割の対象から逸脱し、各相続人は第三者に対し持分に応じた代金債権を取得し、請求することができる。
- 相続開始から遺産分割までの間に今日どう相続にかかわる不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は、各共同相続人がその持分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その帰属は後にされた遺産分割の影響を受けない。
- 預金者が死亡した場合、その共同相続人の一人は預金債権の一部を相続により取得することができるにとどまるが、これとは別に、共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき、被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる。
連帯債務の相続
相続人は、各相続分に応じて分割された債務を承継し、各自その承継した範囲において本来の債務者とともに連帯債務者となる。
金銭の共同相続
金銭の共同相続は当然に分割されることなく、共有とされ、遺産分割にまでの間、相続財産として保管している相続人に対して、自己の相続分に相当する金銭の支払いを求めることはできない。
相続人が複数いる場合の相続財産
相続人が複数いる場合の相続財産は、民法898条によって規定されてます。
相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
そして、各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継します。そのため、相続財産につき各相続人は自己の持分を自由にできます。
また、遺産分割前であっても、各相続人の法定相続分に応じた持分の割合の相続登記をすることが可能です。