遺言書を作成する際に、相続分をどうするかといった遺産の処理のような法律行為を伴うものがあります。これを遺言事項と言います。一方この遺言による分配後も家族仲良く暮らして欲しいなどそれ以外の部分で残しておきたいメッセージを付言事項(ふげんじこう)と言います。
遺言書にはこれを書いてはいけないなどのルールはありません。したがって法的に意味のないメッセージでも入れることに問題はありません。今回は付言事項について解説していきます。
付言事項の具体例
付言事項は何を書いてもいいですが、あまりにも関係ないものを書きすぎてしまうと遺言自体の信憑性も薄れてしまうので、適切に着さしする必要があります。
よくあるものとして感謝の気持ち、葬儀の方法、遺言の配分の理由について、遺留分関連、死後の希望などがあります。
付言事項のメリット
付言事項において相続の配分についてなどを記載しておくだけで、付言事項がない時に比べ相続人が納得しやすくなり、トラブルを未然に防げる可能性があります。例えば被相続人に息子が2人いて法定相続で考えた場合は1/2,1/2ずつで分けることになりますが、長男1/4,次男3/4などで分ける場合もあるでしょう。この数字だけ見ると長男は納得がいかないかもしれませんが、次男は生前被相続人と同居し介護を献身的にしてくれたのでなど、被相続人からのメッセージがあれば納得する可能性があります。付言事項は法的な拘束力はないものの被相続人の「最後のお願い」になるのです。
付言事項のデメリット
付言事項を記載することに伴うデメリットもあります。例えば相続に詳しくない相続人であれば遺留分という権利を知らずに何も請求してこない可能性があります。しかし遺留分について付言事項で明記をした場合、その付言事項がきっかけで遺留分について詳しく調べられ請求されてしまう可能性もあります。当然付言事項は法的拘束力がないため、遺留分は認められます。
付言事項に全てを書いてしまうと、かえってマイナスになることがあるため、あまり他に知られたくない場合などは公正証書遺言で遺言事項だけを述べ、付言事項に書くことを手紙として記し保管しておく方法もあります。
付言事項の書き方
付言事項は書く場所、順番など決まってはおりませんが、慣例として署名・捺印の前に記載するのが一般的です。また遺言書の肝は誰にどのように財産を分配するかなので、先の通りに付言事項を書くのが自然です。ただしそれ以外の場所に書いたからといって無効になることはございません。
なお遺言は一定のルールに則って書く必要があります。遺言書を作成を検討している方は一度プロである司法書士に相談してみるのも一つの策です。川口相続センターでも遺言に関するご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。