遺留分とは
相続が開始した時に、被相続人が自己の財産を処分していても、相続財産のうちの一定の割合を、一定の相続人に留保する制度。
遺留分は相続人ならば、全ての相続人が有するのか
民法1028条に遺留分の帰属及びその割合の規定があります。
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
- 直系尊属のみが相続人である場合→被相続人の財産の3分の1
- 前号に掲げる場合以外の場合→被相続人の財産の2分の1
すなわち、遺留分を有する相続人は、兄弟姉妹以外の相続人である、配偶者、子、直系尊属であり尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の3分の1である。
遺留分に関する規定に反した、遺言の効力はどうなるのか
民法902条に遺言による相続分の規定の条文があり、そこには被相続人は前2条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし被相続人又は第三者は遺留分に関する規定に反することができないとの条文があります。
また、特別受益者の相続分の規定である、民法903条にも、第3項にて、「被相続人が全2項の規定と異なった意思を表示した時は、その意思表示は遺留分に関する規定に違反しない範囲で、その効力を有する。」とあります。
しかし、遺留分を侵害する行為も当然には無効とならず、減殺請求できるだけであるとされています。したがって、遺留分に関する規定に反する遺言、相続分の指定も効果は生じます。
2019年7月1日施行 遺留分制度の見直し
遺留分を侵害された者は、遺贈や贈与を受けた者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の請求をすることができるようになります。
遺贈や贈与を受けた者が金銭を直ちに準備することができない場合には、裁判所に対し、支払期限の猶予を求める事ができます。
遺留分の算定
遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の額を控除して、これを算定します。そして算入される贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限られます。ただし、1年前の日よりした贈与であっても、当事者双方が遺留分権利者に損害を加える事を知って贈与したときは、その額も算入されます。
また、上記の相続開始前の1年間にした贈与の価額は相続人以外の者に対する贈与に限られます。
すなわち、相続人に対して特別受益として与えた贈与は、その贈与がいつされたか、また遺留分権利者に損害を与える事を知っていたかを問わず、算入されます。
・遺留分を侵害された相続人が存在するにもかかわらず、減殺の対象となるべき、遺贈、贈与がないためにそのものが遺留分相当額を確保できないとすれば、遺留分制度の趣旨を没却することになるから、民法903条1項の定める相続人に対する贈与は、その贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の経過に伴う社会的事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺制空を認めることがその相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り、民法1030条の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象となる。