相続登記(相続による不動産名義変更)
相続による不動産名義変更である相続登記に必要な書類として、不動産登記令に別表に「相続を証する市区町村その他の公務員が職務上作成した情報およびその他の登記原因を証する情報を提供することを要する」と記載があります。
要は、相続登記は単独で申請ができるため、登記の真正、正確性を確保するために、公務員が職務上作成した情報を提供せよということです。
相続を証する市区町村その他の公務員が職務上作成した情報とは
代表的なものとしては、戸籍謄本です。戸籍謄本については、被相続人の死亡後に取得した戸籍謄本ならば、特に期限の定めはなく、作成後3ヶ月内であっても問題ありません。
権利証が無くても相続登記は可能
亡くなった被相続人の書類等を整理していると、金庫などから権利証が出てきた。不動産の名義変更に権利証は必要なのか。相続登記の場合は相続を証する市区町村長その他の公務員が作成した情報を提供することになるため、権利証は無くても相続登記は可能です。
登記権利者および登記義務者が共同して権利に関する登記の申請をする場合その他登記名義人が政令で定める登記の申請をする場合はその申請情報と併せて登記義務者の登記識別情報を提供しなければならない(不動産登記法22条)→相続登記は単独申請のため、登記識別情報は不要ということです。
ただし、被相続人の最後の住所等が不明であったり、地番を特定するのに権利証が必要になる時もあります。
その他の登記原因を証する情報
相続人が相続放棄をした場合の、相続放棄申述受理証明書は、他の相続人の相続登記を申請する場合の登記原因を証する情報の一部となります。また、相続欠格者に該当することを証する情報は、欠格者自身が作成した証明書または確定判決謄本です。
相続登記がされる前に、遺産分割協議が成立し、相続を登記原因として所有権移転登記を申請する時は相続およびその他の登記原因を証する情報の一部として、遺産分割協議書を提供することを要します。
また、相続登記の申請情報と一緒に提供する遺産分割協議書には相続登記の申請人以外の協議者全員の印鑑証明書を添付します。この印鑑証明書は作成後3ヶ月内の規定はありません。
上記の遺産分割協議書が公正証書で作成されてる場合は、作成時に公証人が関与してるため申請の担保がされていますので、印鑑証明書は不要です。
遺産分割が調停で成立した場合の相続登記は調停調書を提供すれば足り、別途相続関係を証する戸籍謄本等の提供は不要です。家庭裁判所が相続関係を把握していますので申請の担保がされているからです。
その他の相続登記必要書面
登記の名義人になる人の住所を証する情報(住民票等)が必要になります。
あとは被相続人の最後の住所を証する住民票の除票または戸籍の附票が必要になります。