まずは、相続についての大まかな流れを把握しましょう。
❶相続の開始
ご家族が亡くなり、相続が開始されます。
慌ただしくも葬儀が終わり、息つく間もなく本格的な相続手続きが始まります。
相続により、亡くなった方の財産を受け継ぎますが、その受け継ぐための手続きは思った以上に複雑で、時間や手間もかかります。
また、相続手続きには期限のあるものもあります。
難しい法律の知識が必要な場面もありますので、専門家へ依頼することも検討しつつ、速やかに取り掛かりましょう。
❷遺言書の捜索
「無くても別にいいのでは」と思われるかもしれませんが、遺言書があるのと無いのとではこの先の手続きが大きく変わってきますので、重要なポイントです。
見つからなければ、公正証書遺言の場合であれば公証役場で遺言書の検索をかけることもできます。
また、亡くなった方がメモのようなもので残している場合もあります。くまなく探してみましょう。
❸相続人の捜索
「誰が相続人になるのか?」を調査・確定していきます。相続人の範囲は、法律で厳格に定められています。
例えば、亡くなった方の前妻との間に子供がいた場合や、全く知らない人を認知したり養子縁組していたりする場合、これらの人も相続人になってくることがあります。こういった人たちがいないかどうかを調査するのです。具体的には、亡くなった方の生まれてから死ぬまでの戸籍を取得して調査していきます。
戸籍の収集は、専門家に代行を依頼することで手間を省くことができます。
❹相続財産を調査
さて、相続人を調査した後は、今度は相続する財産にどんなものがあるかを調査・確定していきます。
相続財産というと、お金や不動産などプラスのものがイメージされがちですが、借金などの債務も相続財産に入ってきます。これらをどこに、どれぐらいあるのかをくまなく調査していき、確定させます。
❺相続放棄・限定承認
相続する財産がプラスの場合であれば、そのまま受け継ぐといったことでもかまいませんが、マイナスの財産が多く、受け継ぎたくない場合は相続放棄や限定承認などの方法をとっていきます。
特に相続放棄は「3カ月」という期間制限があるため、注意が必要です。間に合いそうになければ、専門家に相談することも検討していきましょう。
❻準確定申告
準確定申告とは、所得税の確定申告が必要な人が亡くなってしまった場合に、亡くなった年の1月1日から亡くなる日までの所得を計算して所得税を申告・納付することです。
これも相続の開始があったことを知った日の翌日から
「4カ月」以内に行わなければなりませんので注意が必要です。
❼遺産分割協議
相続人同士で遺産を誰が、何を、どのように分けていくいくかを話し合います。相続人全員で行う必要がありますが、中にはその日に初めて会うなんて場合も少なくありません。そのような場合は、意思疎通を図ることも難しくなってきますので、十分に注意しながら話し合いを進めていきましょう。
話し合いがまとまらないこともありますので、その場合は専門家に相談することも検討していきましょう。
話し合いがまとまれば、その内容を書面にしてそれぞれが記名・押印をします。
❽預貯金や不動産の名義変更
遺産分割協議が調ったら、その内容通りに遺産を分配していきます。具体的には、
- 不動産(土地、建物、マンションなど)の名義変更
- 銀行口座の解約・名義変更
- 車(自動車、バイクなど)の名義変更
- 証券、株式、国債の名義変更
- 相続不動産の売却
などの手続きをしていきます。これらの手続きには期限はありませんが、金融機関や法務局などへの手続きが必要になってきますので、もし分からなければ専門家への相談を検討していきましょう。
❾相続税の申告・納付
相続税の申告が必要な場合は申告・納付をしていきます。ここで注意しなければならないのは、相続開始を知った日から10ヶ月以内に相続税の申告・納税をしなければならないということです。
ここにも「10か月」という期限がありますので、十分に注意してください。