相続した不動産が未登記であるケースがあります?そのような場合、どのようなことに留意して行うべきでしょうか?未登記不動産があった場合について解説いたします。
不動産が登記されていないことってあるの?と疑問に思う方も多いでしょう。登記する際には建物と土地の2項目あります。そのうちの土地に関しては未登記のものはほぼないですが、土地は登記済みだが、さまざまな経緯により建物の登記はされていないと言ったケースは実態として時々発生しております。
自己資金で建物を購入・建築した場合、当然銀行等から抵当権等の登記を求められることはありません。それにより建物の登記が未登録になってしまうケースが発生します。
未登記の不動産を相続する場合
まず未登記の不動産を相続する場合、その建物が本当に被相続人のものであるのかを確認します。登記された不動産であれば登記簿謄本を見れば明らかですが、未登記の不動産ではすぐにわかりません。
建築基準法に基づく確認済証および検査済証の建築主、固定資産税評価証明書の所有者欄などを調査して所有者を確認していきます。
未登記不動産における相続上の問題
未登記の不動産も固定資産税の対象となります。その納税証明書に所有者の他、権利能力なき社団の代表者、既に死亡している人、などが記載されている場合があります。納税証明書に記載されている人=所有権登記名義人とは限りません。
そのため納税証明書を見ただけでは、所有関係ははっきりとわからないのです。実際に納税証明書に記載された人の所有として相続手続きを進めたとしても、実際にはその配偶者との共有であった可能性もあります。それにより相続人や相続税額、取り分が変わったりするため大変難しい問題となります。
権利関係を把握できないと話が進められないため土地家屋調査士などに依頼し調査するケースもあります。
不動産未登記によるペナルティ
不動産登記法164条には同法47条の義務があるものが申請を怠った場合は10万円以下の過料に処するとされております。
(過料)第164条
- 第36条、第37条第1項若しくは第2項、第42条、第47条第1項(第49条第2項において準用する場合を含む。)、第49条第1項、第3項若しくは第4項、第51条第1項から第4項まで、第57条、第58条第6項若しくは第7項、第76条の2第1項若しくは第2項又は第76条の3第4項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処する。
- 第76条の5の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、5万円以下の過料に処する。
しかし実際には未登記の建物は結構多いのが現状です。過料の金額が少ないことや刑罰もなく、実際に処罰を受けた人がいないというのも現状です。そのため実質的にはないと言ってもいいでしょう。
(建物の表題登記の申請)第47条
- 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない。
- 区分建物である建物を新築した場合において、その所有者について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人も、被承継人を表題部所有者とする当該建物についての表題登記を申請することができる。